私がフリースクールを運営して4年、効果的だった教育ツールの一つが「ボードゲーム」でした。
「ゲームなんかで本当に教育効果があるの?」そう思われる方も多いでしょう。しかし、実践してみると子どもたちの変化は驚くほどでした。こどもたちもボードゲームやカードゲームが大好きで、各々の学習が終わると、自然とゲームの時間が始まりいつも盛り上がります。
今日は、なぜフリースクールにボードゲームを導入したのか、その3つの理由をお話しします。
理由1:コミュニケーション能力が自然に身につく
フリースクールに通う子どもたちの多くは、学校での人間関係に悩みを抱えています。「人と話すのが怖い」「自分の気持ちをうまく伝えられない」そんな声をよく聞きました。
ボードゲームの素晴らしさは、遊びながら自然とコミュニケーションが生まれることです。
- 交渉スキル:資源の交換や協力を提案する場面
- 説明力:ルールを他の人に教える機会
- 感情表現:勝敗に対する気持ちを適切に表現する練習
- 相手を思いやる力:他のプレイヤーの立場を考える習慣
理由2:論理的思考力と問題解決能力が育つ
現代社会で最も求められるスキルの一つが、「自分で考えて解決する力」です。従来の暗記中心の学習では、なかなか身につかないこの能力を、ボードゲームは楽しみながら伸ばしてくれます。
戦略的思考の発達
ボードゲームをプレイする際、子どもたちは常に以下のことを考えています:
- 状況分析:現在の盤面や手札の状況を正確に把握
- 予測力:相手の次の手を読む
- 計画立案:勝利に向けた戦略を組み立てる
- 柔軟性:予想外の展開に対応する適応力
失敗から学ぶ経験
ボードゲームでは負けることも多々あります。しかし、この「安全な失敗体験」こそが重要です。現実社会での失敗は時に深刻な結果を招きますが、ゲームでの失敗は次のゲームでリベンジできます。
子どもたちは失敗を通じて:
- 原因分析の習慣
- 改善策を考える力
- 諦めない粘り強さ
- 次回への活かし方
これらを身につけていきます。
理由3:自己肯定感と達成感を育む
フリースクールの子どもたちの多くは、学校教育の中で「できない」「ダメな子」というレッテルを貼られ、自己肯定感が低下しています。
ボードゲームは、従来の学力とは異なる能力で輝ける場を提供してくれます。
多様な得意分野の発見
- 数学は苦手だけど、交渉が得意な子
- 読み書きは困難だけど、空間認識能力に長けた子
- 人見知りだけど、戦略を立てるのが上手な子
協力ゲームによる達成感
対戦型だけでなく、全員で協力してクリアを目指す協力型ボードゲームも効果的です。「パンデミック」や「フォビドゥン・アイランド」では、みんなで知恵を出し合い、困難に立ち向かいます。
成功した時の達成感は個人戦の比ではありません。「みんなで力を合わせれば、大きな困難も乗り越えられる」という実体験は、子どもたちの心に深く刻まれます。
まとめ:ボードゲームは最高の教育ツール
フリースクールにボードゲームを導入した3つの理由:
- コミュニケーション能力の自然な習得
- 論理的思考力と問題解決能力の育成
- 自己肯定感と達成感の向上
これらは、どれも現代社会を生き抜くために必要不可欠な能力です。そして、ボードゲームはこれらを「楽しみながら」身につけられる、まさに理想的な教育ツールなのです。
第2回では、3-5歳のお子さんにおすすめの「はじめてのボードゲーム5選」をご紹介します。どのゲームも子どもたちの成長に大きく影響を与える、おすすめの作品ばかりです。
この記事を書いた人 フリースクール「みんなの学び舎ことのは」代表。一般社団法人まなびのとびら岐阜羽島きょういくラボ代表理事。運営するフリースクールには多数のボードゲームやカードゲームがあり、こども非認知能力の向上について考える日々。

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