フリースクール実践者として子どもたちと関わってきた私が、今回は9~12歳の子どもたちに特におすすめしたいボードゲームをご紹介します。
この年齢は、論理的思考力が急速に発達し、同時に仲間との関係性も深まる大切な時期。単純なゲームでは物足りなく感じ始める一方で、コミュニケーションを通じて自分を表現したり、相手の気持ちを理解したりする能力も伸びてきます。
今回選んだ3つのゲームは、すべてフリースクールで実際に使用し、子どもたちの成長を目の当たりにしてきた実証済みのものばかりです。
なぜ9~12歳にはコミュニケーション重視のゲームが効果的なのか
この年齢の子どもたちは、以下のような特徴を持っています:
- 抽象的思考ができるようになる
- 相手の立場に立って考えられるようになる
- ルールの意味を理解し、応用できる
- グループでの協力や競争を楽しめる
フリースクールでは、様々な背景を持つ子どもたちが集まります。中には人とのコミュニケーションに苦手意識を持つ子も少なくありません。しかし、ゲームという「安全な環境」の中では、自然と会話が生まれ、相手との距離が縮まっていくのを何度も見てきました。
【1】ito(イト)- 数字で紡ぐ心の絆
プレイ人数: 2~10人
プレイ時間: 30分
価格帯: 1,500円前後
ゲーム概要
各プレイヤーが1~100の数字カードを1枚ずつ持ち、その数字をテーマに沿った「言葉」で表現して順番に並べるゲームです。例えば「小学生に人気の食べ物」で「85」なら「ハンバーグ」、「12」なら「梅干し」といった具合に。
学習効果の実例:
- 表現力の向上: 数字を言葉に置き換える練習で語彙が豊富に
- 傾聴力の育成: 相手の表現から数字を推測する集中力
- 共感力の発達: 他者の価値観や経験を理解する力
保護者の方へのアドバイス
家庭で遊ぶ際は、お子さんの表現に対して「なるほど!」「面白い考え方だね」と肯定的に反応することが重要です。正解不正解よりも、表現すること自体を褒めてあげてください。
【2】テレストレーション – 伝言ゲームの進化形
プレイ人数: 4~8人
プレイ時間: 30分
価格帯: 3,000円前後
ゲーム概要
お題を絵で描いて次の人に渡し、その人がその絵を見て言葉で表現、次の人がその言葉を絵で描く…という、絵と言葉の伝言ゲームです。
学習効果の実例:
- 非言語コミュニケーション: 絵という手段での表現力向上
- 失敗への耐性: うまくいかないことを楽しむ心の余裕
- 創造力の発達: 限られた時間での表現力強化
【3】ワードバスケット – 瞬発力と語彙力の融合
プレイ人数: 3~8人
プレイ時間: 10分
価格帯: 1,200円前後
ゲーム概要
場に出ているひらがなから始まり、手札のひらがなで終わる言葉を素早く作って、カードを出していくスピードゲームです。
学習効果の実例:
- 瞬発力: 限られた時間での判断力
- 語彙力: 様々な単語の習得と活用
- 柔軟性: 複数の答えから最適解を選ぶ思考力
ゲーム選びのコツと注意点
家庭での環境作り
最も重要なのは「勝ち負けよりも過程を楽しむ」雰囲気作りです。フリースクールでも、結果に一喜一憂するのではなく、「今のプレイ、すごく考えてたね」「その発想は面白いな」といった声かけを心がけています。
継続のための工夫
週に1回、決まった時間にゲームタイムを設けるのがおすすめです。習慣化することで、コミュニケーションスキルの向上も継続的に期待できます。
まとめ:ゲームを通じて育む未来への力
これらのボードゲームは、単なる娯楽ではありません。子どもたちが将来社会に出たときに必要な「他者と協力する力」「自分の考えを伝える力」「相手の立場を理解する力」を、楽しみながら身につけられる貴重なツールです。
フリースクールで多くの子どもたちを見てきて確信していることは、ゲームで培ったコミュニケーション力は、必ず日常生活にも良い影響を与えるということです。
ぜひ、お子さんとの大切な時間に、これらのゲームを取り入れてみてください。きっと新しい一面を発見できるはずです。
次回予告: 第5回は「13歳以上向け:論理的思考力を鍛える本格戦略ゲーム」をお届けします。より高度な思考力が求められるゲームの世界をご紹介予定です。お楽しみに!


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